NMNに期待される視覚障害予防・改善作用【網膜の血流を健康に保つことが視覚障害の予防・改善につながる】
網膜虚血は、加齢によって網膜機能が衰え、網膜の細胞に老廃物が溜まることで生じると言われてます。
網膜機能が退化すると網膜でのピント調整が困難になるので、近くのものがぼやけて見える「老眼」の症状が現れます。
また、網膜虚血は、心臓の病気や頚動脈の狭窄・閉塞、動脈硬化などに起因する場合も多いとされ、特に網膜虚血の原因が心血管疾患(心臓につながる血管や心筋に異常が生じ、心臓に血液が十分に行き渡らなくなる病気)の場合は、重度の視覚障害を生じる可能性もあります。
さらに網膜虚血は、酸化ストレスや反応性グリオーシス(神経膠症)※、網膜機能の欠損など、とても多くの病理学的過程(疾患の病因になる基本的なメカニズム)にも関与するとされています。つまり、これらの病理学的過程にアプローチして網膜の血液の巡りを改善すると、視覚障害を予防できる可能性があります。
※グリオーシス(神経膠症):外傷や虚血、感染など脳や脊髄が大きな障害を受けた時に、神経細胞の栄養細胞「グリア細胞」が傷害部位に増殖する状態。アルツハイマー病や多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など幅広い疾患に関与すると考えられている。
特に大規模網膜グリオーシス (MRG) の場合は、失明につながる可能性もある。
【NMNに期待される視覚障害予防・改善作用とは】
今回は、NMNが網膜疾患の有望な治療方法として期待されてきたNMNが、心血管疾患誘発性網膜虚血に対して有益なのか否かを検証するために実施した実験に関する論文をご紹介します。
【実験の内容】
実験では、マウスの総頚動脈を右側のみ糸などで縛ることによって、人為的に総頚動脈を閉塞した状態にし実験の終了まで毎日体重1㎏あたり500㎎のNMNを腹腔内注射し、網膜の状態を観察しました。
【実験から得られた結果】
実験により、下記が明らかになりました。
①UCCAO誘発性網膜機能障害の抑制
②病的グリオーシスの軽減
③網膜NAD+レベルの維持
④抗酸化分子(核因子赤血球2関連因子2; Nrf2)の発現が上方制御
この実験結果は、心血管疾患による網膜虚血機能障害の抑制にNMN療法が有望であることを示唆しています。
【NMNを取り入れて、心身ともにアクティブな毎日を】
上記の実験結果は、ヒトにおいてもNMNの摂取が網膜の血流を改善し、視覚障害などの眼疾患予防につながる可能性を示唆しています。
特に目のトラブルは生活にも支障をきたします。また、高齢になればなるほどトラブルも複雑化し、治療に時間を要します。そのため特に高齢者はNMNを積極的に摂取し、目の健康維持と眼疾患予防に努めることをおすすめします。ぜひNMNを生活に取り入れて、身体の内側から目の“貯健”を始めましょう。
【参考】
参考論文:【Nicotinamide Mononucleotide Protects against Retinal Dysfunction in a Murine Model of Carotid Artery Occlusion】
直訳:ニコチンアミドモノヌクレオチドは、頚動脈閉塞のマウスモデルにおいて網膜機能の障害から保護する
雑誌名・巻号/Int J Mol Sci. 2022 Nov 25;23(23):14711.
論文URLはこちら(PubMed)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36499037/