2026年ノーベル化学賞の受賞者に、東京理科大学の硤合憲三(そあい・けんそう)名誉教授と、フランスのアンリ・カガン名誉教授が選ばれました。
受賞理由となった研究は、分子の「形」に関する研究です。この研究は、生命の起源の謎に迫るものであり、創薬にも役立つものとされています。
実は、この研究にはミライラボがNMNの品質にこだわる理由とも共通する、大切な考え方があります。
今回のコラムは、このノーベル賞受賞研究とNMNとの関わりについて説明します。
分子を構成する部品の「向き」で、働きが変わる?
私たちの身の回りにある分子は、原子という小さな部品が結びついてできています。
実は、同じ種類の部品が同じ数だけ使われていて、部品同士の立体的な向きだけが異なる分子が存在します。そして、このわずかな違いによって、物質の性質や体内での働きが大きく変わることがあります。

例えば、ある向きの分子は医薬品として効果を発揮するのに、別の向きでは効果がなかったり、有害な作用を引き起こしたりする場合もあります。
一方は鎮静剤として、一方は胎児に有害!?サリドマイドの例
かつて、睡眠薬や鎮静剤として使われていた「サリドマイド」という医薬品があります。
サリドマイドにも、分子を構成する部品のつながりの向きが異なる、2種類のタイプが存在します。
この2種類は体への働きが異なり、現在では、一方には眠りを促す作用があり、もう一方には胎児の発育に悪影響を及ぼす作用があることが知られています。

この出来事は、分子のわずかな違いが体に及ぼす影響を十分に調べることの重要性を示す、代表的な事例となっています。
※2種類のサリドマイドを例に出しましたが、この2種類は体内で互いに変化するため、一方だけを取り出せば安全になるというわけではありません。
また、生命活動に使われる物質には、特定の向きの分子が多く存在することが知られています。
なぜ、このような偏りが生まれるのでしょうか。この謎を解く重要な手がかりとなったのが、今回のノーベル賞受賞研究です。
硤合教授は、化学反応によって生じたごくわずかな偏りが、反応が進むにつれて増幅され、最終的には一方の向きの分子が圧倒的に多く作られる現象を発見しました。
この発見は、生命が誕生する過程で、なぜ特定の向きの分子が多く使われるようになったのかを考えるうえで、重要な手がかりとなるものです。また、医薬品に必要な分子を選んで作る技術の発展にもつながっています。
NMNにも2つの型「α型」と「β型」がある
さて、NMNにも、分子の一部分の立体的な配置が異なる「α型」と「β型」の2種類があります。

NMNは私たちの体内でも作られる物質ですが、生命活動に欠かせないNAD⁺の材料として利用されているのは、β型のNMNです。
これまでに報告されているNMNの有効性や安全性に関する研究も、主にこのβ型のNMNを用いて行われています。
一方、NMNを化学的に合成する場合、製造方法によってはα型とβ型の両方が生成されることがあります。
では、α型のNMNを摂取しても問題はないのでしょうか。
現時点で、α型のNMNに有害な作用があると確認されているわけではありません。しかし、β型と比べると研究が十分に行われておらず、体内での働きや安全性について、まだよくわかっていないのが実状です。

だからこそ、サプリメントなどのNMN商品を選ぶ際には、単に「NMNが含まれている」というだけでなく、どのような形のNMNが使われているのかも重要になります。
ミライラボでは、体内で実際に利用され、科学的な研究が積み重ねられているβ型NMNにこだわった製品をお届けしています。
まとめ
今回のノーベル化学賞は、分子のわずかな形の違いが、生命の仕組みや医薬品の開発にとって、いかに重要であるかを改めて教えてくれました。
NMNにもα型とβ型という、形の異なる2種類が存在します。
ミライラボが大切にしているのは、科学的な根拠に基づいて品質を追求することです。
これからも、体内で利用されるβ型NMNにこだわり、研究によって得られた知見を製品づくりに活かしてまいります。

清水 宣明【博士(工学)】
東京大学、カロリンスカ研究所(スウェーデン)など国内外の研究機関において、20年以上にわたり生命科学の研究に取り組む。健康維持や老化に関わる生命メカニズムの解明を目指し、臨床研究から分子レベルの基礎研究まで幅広い領域を横断しながら、多面的な視点で研究活動を展開してきた。
プロフィール